iDeCoで年末調整が間に合わなかった場合、確定申告を行うことで簡単に税金の控除が受けられます。
とはいえ会社員や公務員の人は年末調整以外に、税金の対策を行ったことがない人は少なくありません。
iDeCoの税金計算は複雑そうな印象を持つかもしれませんが、実際は手順通りに申請すれば問題なく確定申告ができます。
この記事では年末調整に間に合わなかった場合の対処法について、期限や必要書類などの注意点と合わせて解説します。
iDecoが年末調整に間に合わなかった場合の対処法
iDeCoの年末調整が間に合わなかった場合は、以下2つの方法で対処しましょう。
- 年末調整のやり直し
- 確定申告の申請
年末調整をやり直すときは、企業の給与担当者に再計算してもらえます。
ただし年末調整のやり直しは手間がかかるので、担当者に負担をかけてしまいます。
データのまとめ直しや計算の再確認などで、時間のかかる仕事になってしまうからです。
個人の都合でやり直しをさせて申し訳なくなる場合は、ご自身で確定申告を申請して給与担当者に負担をかけさせないようにしましょう。
確定申告には時間や計算などに手間がかかるわけでもないので、後々の会社の人間関係を考慮すると、ご自身で対処する方が賢明な判断だといえます。
年末調整に間に合わない場合は確定申告を申請する
確定申告は国税庁のホームページに沿って行うだけで済むので、スマートフォンやパソコンで申請が可能です。
税務署に行かずに電子申告や郵送などで確定申告は完了します。
会社員の人は自分で申告をしたことがない人も多いですが、会社から支給された源泉徴収票と控除証明書があれば簡単に申告できます。
また個人事業主の人は企業の年末調整がないので、確定申告は納税するため必要不可欠な申請になります。
ただしカードリーダーや電子証明書が必要になる場合があるので、詳しくはホームページの内容に従って手続きを行いましょう。
iDeCoで運用している金額が大きいほど、控除額が増えて還付金の多く受け取れるので、忘れずに確定申告を行うことをおすすめします。
iDecoを確定申告で申請する手順
iDecoで確定申告を申請する手順は以下の通りです。
【会社員・公務員】
- 「小規模企業共済等掛金払込証明書」を受け取る
- 「確定申告書A」に必要事項を記入する
- 「確定申告書A」を税務署に提出する
【自営業・フリーランス】
- 「小規模企業共済等掛金払込証明書」を受け取る
- 「確定申告書B」に必要事項を記入する
- 「小規模企業共済等掛金払込証明書」と「確定申告書B」を税務署に提出する
どちらも申告期限は、原則2月16日から3月15日の間です。
日付が土曜・日曜・国民の祝日・休日の場合は、翌日が対象日になります。
期限内はいつでも修正した申告書を出すことができますが、期限を過ぎた場合は「延滞税」や「無申告加算税」が課されるので注意が必要です。
難しいと感じる人は国税庁の「申告相談」で相談しよう
税務署で申告相談を行うと、無料で確定申告についての疑問点を質問できます。手続きに不安がある場合は、電話もしくは面接で対応してもらえるでしょう。
電話は音声ガイダンスに従って「国税に関する質問や相談」を選択し、次の案内で希望する項目についての番号を入力するとオペレーターに繋がります。
直接の面接は電話で予約しなければならないので、こちらも電話と同様に音声ガイダンスの指示に従って、オペレーターに面接相談の事前予約を行います。
どちらも書類の書き方や添付する書類の種類などの質問に回答してもらえるので、あらかじめ質問を準備して相談しましょう。
確定申告に必要なものは3つ
確定申告に必要なものは以下の3つです。
- 本人確認書類
- 所得を証明できる書類
- 控除を受けるための証明書類
本人確認書類は「マイナンバーカード」が簡単なのでおすすめです。
マイナンバーカードがない場合は運転免許証や被保険者証などの他にパスポートで対応できます。
所得を証明する書類は「源泉徴収票」や「支払い調書」などの原本が必要です。
副業をしている場合は、本業の会社と副業先のどちらも用意しなければなりません。
さらにiDeCoで控除を受けるには「小規模企業共済等掛金払込証明書」が必要になるので、郵送された後は紛失しないように保管しておきましょう。
必要書類を作成して提出する
まずは確定申告の用紙を用意します。国税庁のホームページからダウンロードができるので、印刷して必要事項の記入を行いましょう。
確定申告書類はAとBの2種類に分かれており、会社員や公務員の人は「確定申告書A」、個人事業主やフリーランスの人は「確定申告書B」に必要事項を記入します。
ただし会社員でも2つ以上の箇所から収入ある場合は、「確定申告書B」を使って申請しなければなりません。
また青色申告をする場合は青色申告決算書が必要になり、一方で白色申告をする場合は収支内訳書の提出が義務になります。
ちなみに支払い調書や源泉徴収票の原本は、税法改正によって提出する必要がなくなったので、書類作成のためだけに使いましょう。
iDecoの掛金は確定申告しなくてもバレない?
iDeCoの掛け金は確定申告しないでも、バレると考えがほうがよいでしょう。なぜなら金融機関でサービスを利用する際は、マイナンバーの登録が必要になったからです。
国の方針として2021年を目安にマイナンバーの提出が義務化される予定なので、掛け金をごまかそうとはしないほうがよいです。
現在は銀行において口座のひもづけは義務化されていませんが、今後は口座の管理のために資金の流れを把握されやすくなるでしょう。
口座開設時にマイナンバーを提出している為必ずバレる
口座を開設する時にマイナンバーの提出は義務なので、必然的にバレてしまいます。2016年1月以降から登録が必須になりました。
さらに2018年に国税通則法が改正され、金融機関はマイナンバーとひも付けて管理することが義務付けられています。
ただし個人に対してマイナンバーの紐付けは義務化されていませんが、今後は銀行口座のひも付けになる可能性が考えられます。
また証券会社によっては取引制限がかかる可能性があり、iDeCoを運用することができなくなるかもしれません。
基本的に口座開設とマイナンバーの提出は必須なので、確定申告を行わずにバレないことはないと考えて運用を行わなければなりません。
iDecoの年末調整に関する注意事項
iDecoの年末調整に関する注意事項は以下の3つです。
- 年末調整に間に合わせたい人は夏前までが期限
- 確定申告に必要な払込証明書は10月に届く
- 確定申告の期限を忘れてはいけない
iDeCoは企業のスケジュールに合わせて口座を開設して掛け金を払い込まなければ、自分で確定申告をすることになります。
そのため9月前までには掛け金を拠出することで、iDeCoの運用で利益を積み上げることができるでしょう。
また確定申告を行う場合は必要な書類が10月頃に届くため、期限を忘れずに申請を行わなければなりません。
忘れずに申請を行うことで所得税や住民税の控除になるので、iDeCoを使った運用でお得な運用が可能になります。
年末調整に間に合わせたい人は夏前にiDecoを始めよう
iDeCoは10月以降に初回の掛け金を拠出した場合、会社員や公務員の人でも確定申告を行わなければなりません。
なぜなら「小規模企業共済等掛金控除証明書」を発行できず、年末調整までに送付できないからです。
企業の年末調整は年内までに、給与の確定や年末調整書類の準備などを完了させるため、10月以降に掛け金を拠出した後の控除証明書に対応できません。
そのため年末調整に間に合わせたい人は、初回の掛け金を払い込む時期を夏前に設定することをおすすめします。
9月までに初回掛け金を払い込んだ場合は、同年の10月下旬頃に「小規模企業共済等掛金控除証明書」が送付されるので、夏前に口座を開設すると年末調整までに間に合わせましょう。
確定申告に必要な払込証明書は10月に届く
確定申告に必要な書類である「小規模企業共済等掛金払込証明書」が、国民年金基金連合会から10月に届きます。
この証明書は、同年の12月末までに払い込む予定を含んだ金額を証明するために必要な書類です。
初回掛け金が10月の場合は11月に届き、11月は12月に送付される予定になります。12月になると翌年の1月になるので、会社員や公務員の人でも確定申告が必須です。
ただし年間を通して掛け金の払い込みがない場合は証明書が発行されないので、iDeCoの積み立てを行っている人に限定されます。
確定申告は忘れないようにしよう
iDeCoの確定申告は税金控除になるので、申請を忘れないようにしましょう。
たとえ少額の投資でも、控除が積み重なると年間で数万円の節税になります。
確定申告を申請すると所得税と住民税が控除になり、4月から5月頃に軽減された分の所得税が指定の口座に還付されます。
一方の住民税は控除した分は翌年の6月以降に反映されるので、5月から6月頃に届く「住民税決定通知書」を確認して金額を把握しましょう。
iDecoは年末調整に合わせて夏前に始めるのがベスト!間に合わない場合は確定申告が必要
iDeCoを始めたい人は夏前を狙って掛け金を拠出しましょう。なぜなら年末調整に間に合い、確定申告を行わずに済むからです。
もし間に合わなかった場合でも、確定申告を行うことで税金の控除は受けられるので、多少の手間がかかってしまうでしょう。
しかし確定申告の方法は難しくはないので、国税庁のホームページの指示に従って申請を行えば、ほとんど困ることはないといっても過言ではありません。
確定申告に必要な書類を用意して期限内に申請すれば、所得税や住民税の控除が受けられるので、iDeCoの運用で年間数万~数十万円の利益を上げられるでしょう。
確定申告は税理士に相談することも可能
確定申告は人によっては計算が複雑になるため、税理士に相談することで申請を引き受けてもらうことが可能になります。
税理士に確定申告を任せることで、期限内に計算間違いのない申請書の作成や、節税対策などについて相談に乗ってもらえるでしょう。
とくに個人事業主の場合は事業の規模が大きくなることもあるので、確定申告を外注すると手間が省けるのでメリットは大きいです。
税理士の報酬は自由に決められるので差がありますが、おおよそ数万円の額で依頼できます。
税理士に依頼すると時間や手間をかけずに確定申告を行えるので、数字を間違えるなど細かな計算が苦手な人は安心して任せられるでしょう。