QDレーザは2020年12月28日東京証券取引所に上場承認され、2021年2月5日にIPO(新規上場)することが決定した電気機器企業です。
光通信用量子ドットレーザ(=Quantum Dot LASER)の量産化に世界で初めて成功した企業なので、当初は人気がありました。
ですが2022年3月現在、株価は下落を続けています。
一時期終値が1500円を越えていましたが、現在は500円程度まで落ち込んでいる状況です。
この記事ではQDレーザの株価が下落を続けている理由を詳しく解説していきます。
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QDレーザの株価が下落した理由
QDレーザの株価は、2021年の7月半ばを目途に下落を続けています。
- ご祝儀買いによる初値上昇
- 業績悪化
- 新型コロナウイルスの影響
QDレーザの業績は初めから赤字スタートだったので元々業績は悪かったですが、半導体レーザ技術のスタートアップ企業として注目を集めていました。
ですが現在は以上の理由により株価が下落しています。
主な理由をそれぞれ以下に解説していきます。
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ご祝儀買いによる初値上昇
QDレーザの株価が下落している理由として、QDレーザの上場に注目が集まり過ぎていたためにご祝儀買いによる初値上昇が起こったことが挙げられます。
QDレーザは2021年2月5日にIPO(新規上場)することが決定したため、株購入予定期間は1月中でした。
そのため株購入者にとっては2021年初IPOになるので、半導体レーザ技術のスタートアップ企業であるQDレーザの株をご祝儀買いする人が多かったです。
元々QDレーザの業績は赤字で、公開規模もマザーズ上場にはやや足りていないくらいの水準だったので、徐々に株価が下がってきたと予測されます。
新規上場企業の株式は値動きしやすく、期待を込めて購入する人が多いので初値が高くなっています。
業績悪化
前述している通り、QDレーザの業績は赤字推移です。
上場する前の2020年3月期から徐々に業績は回復していますが、2022年3月期の売上高が10億9700万円、経常損益が5億4900万円と予想されています。
慢性的な業績不振は投資家からの信頼を下げるため、初めに株式を購入していた人が手放してもおかしくありません。
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QDレーザの事業内容
QDレーザーは、半導体レーザの開発・販売から、独自の網膜投影技術を用いたアイウェア製品まで、多岐にわたる事業を展開しています。
特に、通信・加工・センサ用のレーザデバイス事業と、レーザ網膜投影技術を使ったレーザアイウェア事業が主力となっています。
多様な適用分野と先進技術
QDレーザーの技術は、非常に多様な産業に適用可能です。
5G基地局、データセンサ、自動運転用LiDAR、スーパーコンピュータ、顔認証、バイオ検査、視覚支援、眼底撮影、レーザ加工、スマートグラス、車載通信、視野検査など、その適用範囲は広範です。
これにより、多くの産業での成長とビジネスチャンスが期待されています。
QDレーザの業績
QDレーザの業績は、次の通りです。
2018年3月期 | 2019年3月期 | 2020年3月期 | |
---|---|---|---|
売上高(百万円) | 664 | 961 | 757 |
経常利益(百万円) | △1,075 | △996 | △1,226 |
当期純利益(百万円) | △1,129 | △1,041 | △1,240 |
純資産額 (百万円) | 246 | 2,131 | 1,730 |
1株あたりの純資産額(円) | △83,373 | △4,915 | 69 |
1株あたりの純利益(円) | △18,691 | △851 | △72 |
自己資本比率(%) | 20.5 | 71.1 | 59.3 |
売上高は一定水準を保っていますが、純利益は常に赤字です。
1株当たりの純利益もマイナス水準を移行しているので、かなり厳しい業績であることが分かります。
2021年5月の決算発表で株価が下落
2021年5月の決算発表を経て、業績の内容が公表されました。
内容としては来期売上高41%増見込みと大幅な増加を発表しながらも、今期の売上進捗が92%と未達だったこと2つがキーポイントです。
大幅な増収が見込めるならば株価も上がりやすく成長見込みがある一方、売上進捗が目標に達していないならば本当に成長できるのかわからない、ということになります。
この結果を受けて、株を手放した人が多く、一気に株価が下がりました。
2021年6月に一時回復
2021年5月の決算報告を経て株価は下がりましたが、下がり過ぎたおかげで逆に購入した投資家がかなりいました。
株価が下がっている場合、今後の回復によっては得するケースが多いからです。
そのため6月になってから一時的に株価は上昇しました。
しかし、その後は徐々に株価が下がっていっています。
QDレーザの今後の業績予想
2023年度の業績予想によれば、売上高は前年比+16%と控えめな伸びが予想されています。
主な理由としては、レーザアイウェア事業の中国市場での販売遅延が挙げられます。
しかし、このような状況の中でも、会社はレーザデバイス事業での販売を安定させつつ、レーザアイウェアの新製品を日本とアメリカ市場に投入する計画です。
これにより、増収と損失の改善を目指しています。
またここからは、QDレーザの今後の業績を予想するための重要な情報についてまとめています。
今後の業績を自分なりに分析するために活かしてみてください。
- 受注進捗状況
- コロナとの闘い
- 株価の現状
- レーザアイウェア事業に計画の遅れ
受注進捗状況
現時点では、2023年度の18.6%分の売上高は確保できている受注状況です。
順調といっていいかどうかは難しい所ですが、前年より受注残高が良いのは、回復傾向であると見て良いでしょう。
ビジネスが拡大している良い兆候ともいえます。
コロナとの闘い
新型コロナウイルスの影響は未だに全世界で続いており、この状況がビジネスに与える影響も小さくありません。
特に、国際的な供給網や販売チャネルに影響が出ている場合、回復びは時間がかかるでしょう。
このような厳しい状況下での業績は、今後の受注状況や市場動向によって大きく変わる可能性があります。
株価の現状
多くの投資家が疑問に思っている点として、業績が好調なのになぜ株価が低迷しているのか、という問題があります。
これには複数の要因が考えられ、例えば市場全体の動き、競合他社との比較、あるいは将来的な成長性に対する懸念などが影響している可能性があります。
株価は短期的な動きも多く、一定の方向性を予測するのは容易ではありません。
しかし、良好な受注状況を維持できれば長期的な成長に対する信頼を回復できる可能性が出てきます。
レーザアイウェア事業に計画の遅れ
QDレーザの決算資料では、レーザアイウェア事業が短期から中期にかけての成長の主要な推進力になるとされています。
しかし新型コロナウイルスの影響により、マーケティング活動が順調に進んでいない現状があります。
これによって事業計画に遅れが生じ、成長性に一定の影響を与えていると考えられます。
この遅れは特に中国市場での展開において顕著で、売上高の伸び悩みに直結しています。
ただ、遅れが出ているとはいえレーザアイウェア事業自体の市場性や製品力は依然として高いとされています。
そのため、マーケティング活動が正常化すれば、遅れを取り戻す可能性も十分に考えられます。
QDレーザの配当は無配
QDレーザの配当金は無配(0%)となっています。
これは業績が悪いから、というわけではなく、新興企業の配当金は企業の成長のために使われることが多く、QDレーザも踏襲しています。
IPOで得た資金は、事業拡大にともなう量産のための製造費用に充てる予定と発表があるので、今後業績が変動してから配当金が配られるでしょう。
QDレーザのIPO株は初値で売る
「IPO投資」では公開価格で購入して、上場日の初値で売却するのが一般的とされています。
QDレーザもその例外に漏れず、初値はかなり高い数字になっていましたが、初値よりは株価が下がっています。
2021年のIPO投資で言えば、12月の株価と比べた場合、初値で売却したとき株価が高かったケースが87社、初値よりも株価が上がったケースが10社、同等の場合が1社という結果が出ています。
2021年は他の年に比べて初値売却の勝率がかなり高いですが、平均的に見ても80%以上の勝率を誇ります。
必ずしも勝てるわけではない
ですが初値で売れば高い確率で利益を出せると考えるのは非常に危険です。
例えばリーマンショック時の2008年は、この年のIPO投資の勝率は40%と非常にひっくい数字になっています。
またリーマンショックほどではありませんが、コロナショックを受けた2020年は75%と少し勝率が下がっています。
理由は市場の勢いが低下すると、新興市場に上場するIPO株に向かう資金が枯渇して、あまり公開価格で購入する人がいないため、公開価格が最大値になりづらくなります。
そのためIPO投資そのものを控えたほうがよい場合もあるので注意しましょう。
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QDレーザのようなIPO株の買い方
IPO株を購入する方法は、次の手順になります。
- 証券会社で口座開設する
- IPO株の抽選に応募する
- 当選したIPO株を購入する
- IPO株が上場されたら売買する
IPO株は必ず購入できるわけではなく、抽選に当たらなければ購入することはできません。
当選確率は大型のIPO株で5~10%、小型のIPO株で0.1%程度と言われています。
以下にそれぞれのステップごとに解説していきます。
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証券会社で口座開設する
まずはIPO株を購入するために、証券会社で口座開設します。
IPO株は証券会社ごとに配分が決まっているので、IPO株が割り当てられる証券会社で口座開設をする必要があります。
適当な証券会社だと抽選に参加することができないので、きちんと証券会社を選びましょう。
IPO株の抽選に応募する
口座開設ができれば、IPOを選定して抽選に応募しましょう。
国内株式や外国株式とは違い、IPO株は常に購入できるわけではありません。
年間で株式市場に上場するのは50~100社程度で、IPO株の抽選が実施されるかどうかは企業の上場タイミングによって決まります。
ネット証券ではIPO株の平等抽選の割合が多く、抽選に当たりやすくなっています。
購入前に抽選に応募できますが、口座内にお金がなければ抽選には参加できないことがほとんどです。
当選したIPO株を購入する
抽選に当たった場合、IPO株を実際に購入することになります。
補欠当選もあり、当選者に購入辞退が出た場合、繰り上げ当選となればIPO株の購入権利が得られます。
当選していた時は「購入」を選択しましょう。
購入意思の表明をしていないか「辞退」を選んだ場合は当選が無効となってしまうため注意してください。
IPO株が上場されたら売買する
IPO株が上場されたら売買しましょう。
購入したIPO株は上場後も保有し続けることが可能ですが、IPO株は上場後の初値が発行価格よりも高くなりやすいのですぐに売却する方がお得になります。
上場日の朝に売り注文を出すことで利益が出る可能性が高いです。
実際に2017年から2021年までの5年間に売られたIPO株は、初値売却で利益が出る確率が平均80%を超えています。
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QDレーザの株価に関するよくある質問
QDレーザの株価に関するよくある質問と回答を紹介します。
- QDレーザの株価が下落している理由は?
- QDレーザの今後の株価は上がる?
- QDレーザの株に配当はある?
QDレーザの株価が下落している理由は?
QDレーザの株価下落の背景には、2021年のIPO時に多くの投資家が期待を寄せ、短期的な「ご祝儀買い」が行われたことがあります。
この期待値が現実の業績に合わない形となっており、株価は修正を受けています。
また、会社自体の赤字継続や新型コロナウイルスの影響も株価下落の理由の一つとされています。
QDレーザの今後の株価は上がる?
QDレーザの売上は増加傾向にあり、半導体レーザ技術には確かなポテンシャルがあるとされています。
しかしこれらが短期内で株価に反映されるかどうかはまだ明確ではありません。
一般に新規上場企業の株価は非常にボラティリティが高く、短期的な価格変動が激しいことが多いからです。
QDレーザの株に配当はある?
現在、QDレーザの配当は無配となっています。
これは会社の業績が悪いからというよりも、新興企業が成長と拡大のために利益を再投資するケースが多いためです。
特に、QDレーザはIPOで得た資金を事業拡大に充てる方針を明確にしており、将来的に業績が安定した場合には配当の可能性も出てくるでしょう。
QDレーザの株価は下落中だが成長の余地はある
QDレーザの株価が下落している理由や、今後の展望について解説しました。
- 赤字は拡大
- 業績予想では売上成長率は低いが回復傾向
- コロナ禍で思うように海外展開できていない
- 受注状況は、堅調
- IPO企業のため成長の余地はある
下落QDレーザの株価は下落中ですが、基本的にIPO企業の株価は初値が最大値になります。
実際に売上高は成長しているため、今後の成長度合いによっては株価が上昇していくことが予想されます。
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